JR東日本 新型の影響で過去最大の1553億円の最終赤字!
今回は、2020年7月30日の引け後に決算発表のあったJR東日本について説明していきます。
どういう会社?
JR東日本は、名前の通り、東日本のJRを管轄する会社になります。具体的な範囲は、東北地方と関東地方と信越地方になります。主力事業は、当然のことながら運輸事業になりますが、今では駅ナカを使って商業施設などの不動産事業にも多く手を出しています。不動産の含み益も非常に多く、1兆円以上の含み益がある会社としても有名です。
決算発表
当然のことながら、今回の決算は、まさに緊急事態宣言ど真ん中の期間の決算になります。売上が55%以上の減収ですが、当然といえるでしょう。注目は営業利益になります。今回は、売上が4000億円弱減り、営業利益は3100億円近く減っています。つまり、売上は半分以下になっても営業費用は15%程度しか減っていないことになります。ここから計算をすると70%ぐらいは固定費になってしまうので、やはり鉄道の業態は、固定費が大きい事業といえるでしょう。
業績推移
2019年まで順調に業績を伸ばしていて、回復すれば営業利益5000億円近くを稼げる会社になりそうです。
チャート
新型の問題発生後に、株価は大きく下落しています。特にこの1か月の下げが非常に厳しく本日も連日で年初来安値を更新しているところになります。
財務状況
今回の決算で、自己資本比率は多少下がりましたが、まったく問題ないレベルです。少し前の決算でANAが営業損失1600億円となっていましたが、JR東日本は資産規模がANAの3倍以上あり財務状況も優れているのでANAと比べればまったく大したことがない赤字といえます。また、JR東日本には不動産の含み益が1兆円以上ありますので、実質的にはこの数字より財務状況はいいといえるでしょう。
セグメント別の業績
今期の決算を見るとほとんどが運輸事業での赤字になります。不動産事業でも年間1000億円程度の営業利益を稼げていたのですが、今四半期では、厳しい業績になってしまってますね。
運輸事業
運輸事業の中身を確認していきます。このように、新幹線は運輸事業の中でも20%にも満たない存在です。中心は在来線での売上になります。在来線を見るとこの緊急事態宣言下でも60%程度の人は電車を使っていたことになります。特に定期券に関しては、週2や週3の出社の人も購入していると思いますので、定期外と比べて落ち込みはそこまで低くないのかもしれません。
今後の業績
新幹線事業は、今後も非常に厳しい状況が続きますが、JR東日本にとってはそこまで大きい事業ではありません。新幹線に関しては、第二四半期以降は5割程度に収まってしまうのではないでしょうか。
やはり在来線のほうが重要になってくるでしょう。現在、電車を確認していると混雑はかなり戻ってきているのが現状です。在来線に関しては、第二四半期以降を平均すれば85%程度には戻ってくるのではないでしょうか。運輸事業を合計して8割程度は戻ってくると想定します。その他の不動産事業などでも、今後は黒字転換はしそうです。第二四半期以降で、不動産事業と流通サービス業は普段の半分ぐらいの営業利益は稼げそうです。
今後の業績予想
通常時の四半期では、売上7500億円、営業利益1200億円程度を稼いでいます。これが売上8割になると売上が6000億円になり、営業利益も大体とんとんレベルまでいくのではないでしょうか。今後はコストカットも行ってくると思われるのでそれなりの営業利益を出すことも可能だと思います。第一四半期の純損失1553億円をカバーすることができるかどうかというところでしょうか。
四季報予想
四季報予想では、中間期で売上1兆500億円、営業損失650億円、通期では売上2兆4000億円、営業利益1400億円とありますが、この数字は現状厳しい数字といえます。先ほどの数字で計算すると売上は通期で2兆1000億円程度、営業利益はとんとんから営業損失1000億円程度の中に納まると思われます。
結論
今回の決算は、想定通りといえます。来期以降ですが、業績はそれなりに回復してくることが想定されます。四季報では来期営業利益4300億円とありますが、そこまでは戻らないにしても3000億円程度は軽く稼いでくる会社には戻るでしょう。2023年3月期になれば四季報の営業利益4300億円も十分に達成可能な数字でしょう。この点から見て、3年単位の長期でみれば現在の株価は十分に買いといえます。何よりもこの会社が倒産することは絶対にないといえるので、長期でも持ちやすい株ともいえますね。
ただし、短期的には新型の感染者の数に反応する株ともいえそうですね。
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