今期予想が大幅減益のトヨタ自動車の今後は?将来は八方塞がりか!
今回は、日本最大の時価総額を誇るトヨタ自動車について説明していきます。
どういう会社?
説明不要の会社ですが、日本最大の自動車会社であり、時価総額では世界最大の自動車会社になります。急激に追い上げてきているテスラは特殊なので除外すると、他の自動車会社の倍以上の時価総額があり、まさに1人勝ち状態です。
指標
PERは、2020年実績ベースで9倍台になります。配当利回りは3%以上になり、PBRも1倍以下になります。自動車会社として世界最大の時価総額を誇っていますが、指標的には非常に割安な会社といえます。業界NO1企業は指標以上に買われる場合が多いのですが、トヨタ自動車はその観点からみても割安だと言えます。
業績
次に今期の業績を見ていきます。売上が20%減になり営業利益は80%減になるという予想を出しております。この決算については、売上が20%減っても利益を出せる体質になっているのは素晴らしい会社といえるでしょう。トヨタ自動車は元々固めの業績予想を出してくる会社です。今期もかなりの上方修正が見込めますので、今期の業績は何一つ問題ないと考えております。来期以降は必ず復活してくるでしょう。
では、何故割安なのか?
それでは、なぜトヨタは割安なのでしょうか。それは自動車業界の主力が電気自動車に移っていくのに、トヨタは取り残される可能性が高いことにあります。EUでは、「2030年の自動車の二酸化炭素(CO2)排出量を全体で37.5%削減する」という合意がなされました。また、中国も国を挙げて電気自動車への移行を進めています。いまや電気自動車への移行は、世界的潮流です。
さて、日本はどうでしょうか。日本は、新しいことへの変化が非常に弱い国ですので、日本国内にはガソリン車が残る可能性はあります。しかし、自動車業界はグローバル化されており、日本国内の販売分だけでは、まともな利益を稼ぎ出せません。ガラケーに代わって、スマホが市場を支配している携帯業界と同じような未来が待っていそうです。そんな日本の自動車業界の中で、トヨタは電気自動車への移行が進んでいません。
そして、この状況は時価総額にも表れています。トヨタは年間1000万台を販売してますが、電気自動車を主力とするテスラはその20分の1の年間40万台程度しか販売していません。しかし、時価総額はほぼ同じレベルになってきています。つまり、投資資金もガソリン車から電気自動車へ移行していると言えます。この流れが止まることはないでしょう。
トヨタが電気自動車へ移行する上の弱点
・今までの自動車の部品は3万点あったが電気自動車になると1万点程度になると予想されていて多くの人は仕事がなくなること
・上記に伴いトヨタは大量の社員を抱えており、その人たちが邪魔になること。社員がいるから仕事を作らなければならないという悪循環が発生する可能性も。
・開発が、どちらかというとソフトウェア開発に近くなりこの分野では米国に圧倒的に負けること
トヨタ自動車も、主軸を電気自動車へと移行していくでしょう。しかしながら、ガソリン車という過去の遺産が大きな壁となるでしょう。電気自動車は、ガソリン車に比べると構造が単純です。特にガソリンエンジンという多くの部品を必要とする機械がなくなります。また、運転プログラムというソフトウェアがメイン部品となります。
3万点もの部品が必要なガソリン車に対して、電気自動車の部品は1万点程です。つまり、部品の開発・製造は3分の1の人員で済むということです。また、ソフトウェア開発が主力となっていくと、既存のガソリン車の技術者・開発者は必要がなくなっていくものと思われます。では、不要となった人員はどうなるでしょう。海外の企業であれば、すぐに解雇できますが、日本では簡単にはできません。それらの社員のために仕事を作らないといけない悪循環が発生する可能性があります。
また、電気自動車は他の業界からの参入も想定されています。トヨタ自動車は既存の自動車会社としては時価総額NO1ですが、米国のIT業界にはトヨタよりはるかに時価総額が大きい企業が存在しています。もし、そのような企業が自動車業界へ参入してきたら、開発力でも資金力でもトヨタはまったく太刀打ちできないでしょう。
結論
電気自動車のシェア拡大は、2025年からと言われています。その頃まではトヨタ自動車は間違いなく安泰といえるでしょう。しかし、2025年以降はまったく分からないというのが現状だと思われます。今までの技術が役に立たなくなるのでトヨタ自動車の優位性がなくなる可能性が高いです。また、多くの社員を抱えていることもマイナス要素といえるでしょう。
電気自動車へ移行せざる得ないが、今までの社員が邪魔になってしまい、まさに八方塞がりの状態になりかねないと考えております。その観点から、トヨタ自動車は買ってはいけない会社だと判断しました。時価総額NO1の企業ですので日経平均には連動して動くと思われますが、今後は日経平均に比べてアンダーパフォームすると考えております。
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